人民兵のヒトリゴト〜友達がアイドルになったら〜

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人民兵のヒトリゴト
〜もしも友達がアイドルになったら〜


この章について
ここに描かれているのは実在の人物とは(多分)関係ありません。 「Suture」の音楽をMP3形式で配信開始しました。ここに隠しページがあるという噂もちらほら・・・

     
 
友達がアイドルになってしまいました


もしもある日突然あなたの友人が「アイドル」になったらどうしますか?
アイドル?あ・い・ど・る・それって怠ける(idle)ことじゃなくって?
いいえ「なんてったって」の方です。



如月ちゃん(仮名)について・・・

彼女と知り合ったのは、人民兵の大好きなスポット=夏の須磨海岸だった。 ビザの関係で日本に一時帰国していた私は神戸人民大学の同志たちと4人で海に遊びにいった。 相変わらず成功もしないナンパに精を出していた時、遠くにいた女の子とふと目があった。 小柄な背丈にすらりと伸びた手足を黄色いビキニに包んだ彼女は、人ごみの中でもひときわ目立っていた。

話かけてみると気さくな女の子で、名前を如月(仮名)だと言った。 整った顔立ちから笑うと八重歯がこぼれ、「パイレーツの浅田好美」に似たいわゆる美人だった。 彼女は京都から友人と二人で泳ぎに来ており、その日の午後からの予定は特に立てていないという。 飲みに行こうと誘うとすんなりと一緒に来てくれた。

6人揃って、神戸三宮の「白木屋」でさんざん盛り上がった後、健全な一行は終電で帰路についた。 せっかく友達になったのにと、翌日にはアメリカに戻ることになっていた私はほんの少し後ろ髪をひかれる思いがした。

アメリに戻って 再びシアトルでの学生生活が始まり、学業に忙殺されていたが、 秋の学期休みに彼女のことを思い出した。 何度かメールをやりとりして分かったことは、予備校生くらいにしか見えない彼女が実は27歳だったことと、 関西では名門とされているD大学の博士課程に在籍しているという事実だった。

そして、それより驚いたのが、国際電話を通じての彼女の一言だった。

「私、デビューすることになってん」

「ええっ? 何の?」

「アイドルっていうか、歌手になんねん」

「えええっ? なんで?」

「高校生の時からずっとスカウトされてて、ずっと断ってたのに 『気が変わったらいつでも待ってるから』って言い続けてくれてた人がいて、 私は絶対そんなことせーへんって思ってたけど、もう今しかチャンスないかと思って」

「はあ・・・」

「人民兵さんは応援してくれる?」

「も、もちろん!! で、これからどういった活動をしていく予定なの?」

「この前レコーディングが終わったから、これからプロモーションとかしていかないと」

「頑張ってね・・・」

最初の電話はこんな感じで、こちらが驚きっぱなしで終わってしまった。
確かに彼女は顔もスタイルも申し分ないが、いくら若く見えるといっても既に27歳だ。 どうしてもう少し早く決断できなかったものか、と真剣に思った。 それでも、どうせやるならビッグなアーチストになってもらいたい。 よし、彼女を応援しよう、と心の中で誓った。

その後彼女とは二度くらい電話して、その度に
「今日は東京でグラビアの撮影だった」

「今度は**でイベントがあるから」
「来週はまたレコーディングで」などと芸能人さながらの忙しさだった。

そして1年の月日が流れ去り、人民兵は友人の結婚式で再び日本に戻らなければならなくなった。 彼女とは疎遠になっていたが、それでもたまに来るメールで忙しく活動しているらしいことは分かっていた。 どうせ日本に戻るなら是非彼女に会って話しを聞きたい。それにCDも買ってあげたい。
それでも、「売れっ子の彼女が俺のために時間を割いてくれるだろうか」という心配をよそに、 久々に電話をしてみると大歓迎されてしまった。
「私がどんなに有名になっても人民兵さんの為の時間ならいつでもあける」 という言葉にはホロリとさせられた。



再会

久しぶりに日本に行くから会って直接CDを買いたいと伝えると、彼女はものすごく喜んでくれた。
考えてみれば、彼女がどんなジャンルの音楽をやっているのか知らなかった。

「で、どんな感じの音楽なの?」と聞くと

「浜崎あゆみ、みたいな感じ」と答えた。

(27の女が「あゆ」かい!)と思ったが、そこはぐっとこらえて、
「そう。凄い楽しみにしとくね」とだけ言って電話を切った。



CD購入・・・

日本に帰国して友人の結婚式が終わった次の夜、京都駅の近くで待ち合わせをした。 久々に、というか二度目に会った彼女は相変わらず若く綺麗だった。 挨拶もそこそこに、はやる気持ちを抑えて早速CDを購入する。 しかし、1000円札と引き換えに出てきたCDを見て、一瞬我が目を疑った。

カバーは白黒で、ペラペラの紙質は明らかにローソンかどこかでコピーしてきたものだと思われた。 中を開けてさらに目を見張った。そこに鎮座していたのは無機質に銀色の光を放つCD−Rだった。

「あの、これってCD−Rじゃ・・・」と聞いた私に

「でもソニーやから」 と彼女は言ってのけた。
確かに「Sony CD−R音楽用74分」とは書いてある。

はじめまして、ましろです。
*写真上 人民兵が1000円で買ったジャケットそのままです

ミュージシャンが「ソニー」と言うのはソニーCD−Rをコンピューターで焼くことではなく
「ソニーエンターテイメント」に所属することではないのか・・・
聞くところによると、彼女はこれを友人知人に手売りしているらしい。
急速にしぼんでゆく私の心を奮い立たせるべく

「何曲入ってるの?」と聞いてみると

「一枚の中に4曲入ってるから、すごいお得よ!」と答えた。

「(4曲も聞かなあかんのんかい)で、どれがお薦めなの?」

「ぜんぶ、ぜんぶ、ぜーんぶがお薦め!! 人民兵さんに聞いて欲しい!!」

その後、一緒に飲みに行って聞いた話では、 十年間かけて彼女を芸能界入りさせたその男が作曲と“プロデュース”をしてくれているらしい。 自分で作詞をしているという彼女の芸名は「Mashiro」ユニット名を「Suture」だと言った。



CDの中身は・・・

シアトルに戻ってCDを聞いて絶句した。薄っぺらな素人のカラオケのような声と、 それでいてやたらとテンポだけはいいサウンド。 実物より不細工な白黒のジャケット写真とその裏に書かれた彼女自作の歌詞。 一曲聞いては、次こそはと期待して全4曲を聞いた後、人民兵は心の底から疲労を感じていた。 「私の作った歌詞も聞いてね」という彼女の笑顔を思い出しながら、 顔を知っているだけに感じる苦痛もあるのだと知った。

「時々僕らは馬鹿なゲームに夢中になるよね」といった歌詞には
「確かにそうだ」と納得できるものの、
「たくさんの男が私の中を通り抜けてゆく」などと聞くと
「ああ、彼女の中をたくさんの男が通り抜けてきたんだなあ」
と嫌な受け止め方をしてしまう。約束した感想を彼女に伝えるのが苦痛だった。

何とか日本に国際電話を掛けて

「どうだった?感想は?」と無邪気に聞いてくる彼女に対して

「次の曲はいつ発売するの? メチャメチャ楽しみにしてる。インターネットで配信とか出来ないのかな?」

と出来るだけポジティブに話題をそらした。
そんな彼女から連絡が来なくなってもう2年になるだろうか・・・
「オリコン一位とかメッチャ憧れる」と言っていた彼女はまだ頑張っているのだろうか、それは知らない。
ただ、2003年5月5日現在、グーグルなどのサーチ・エンジンで彼女の芸名も、 私の持ってるCDの曲名も一件もヒットしなかった。

ここで人民兵が言いたいことは、
CDデビューをすることとCD−Rを手配りすることは違うということだ。
いつくるかもわからない彼女の成功を心から祈っている。

で、ここに彼女への鎮魂歌としてその歌をダウンロードできるようにしておく。 ファイルも重いし、知らない人がこの歌を聞いたところでなんの意味もないですけど

 EWIDGE WIEDERKUNFT
作曲 HOUSEI 作詞 mashiro 
 カンパリ色の朝が明け 電車が走り出す
 毎晩怖い夢を見ては また眠りについている
 
 どうして毎日 こんなにも馬鹿なこと
 くりかえしくりかえし 教えて
 
 sometimes we play silly game
 少しの純情と悪だくみ
 life goes without stopping a break
 みんな寂しいんだね わかるよ


 数え切れない出会い つきすぎた軽いうそ
 流しすぎた涙の数 ほんとはどっちが多いの ねぇ?
 
 どれだけ悩んだら どれだけ苦しんだら
 明日の私はどれだけ 救われる?
 
 こんなにも生きていると ときどき昔に邪魔されて
 気持ちを伝える言葉に ときどき振り回されて
 
 sometimes we play silly game
 少しの純情と悪だくみ
 life goes without stopping a break
 みんな許せるんだよ 今では
 
 sometimes we play silly game
 少しの純情と悪だくみ
 life goes without stopping a break
 みんな寂しいんだね わかるよ・・・

「Suture」ミニアルバム:invisible chAt より EWIGE WIEDERKUNFT(意味不明)
ダウンロード (1.55Mb)
Sutureこと琴野如月ちゃん(仮名)のその他の歌はこの隠しページより
サムターイム♪ウィープレー・シリー・ゲーム、少しの純情と悪だくみ♪



 





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初版:2001年11月31日、