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主体思想塔

旅日記番外編
〜農沢君の北朝鮮日記(2)〜
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主体思想塔


     
 
10月5日 月


朝7時半頃にフロントからモーニングコール、それでも少し横になっていたら今度は金さんからモーニングコール
「起きてますか?」深読みし過ぎかもしれないが、どこかから見ていて寝てそうだからもう一回電話したのか?

8時に朝食。メニューはかゆ2杯・魚・野菜炒め・肉・卵焼きみたいなの・パン3切れ、 どうでもいいがなぜ朝からこんなに動物性蛋白質が多いのか?

朝食後、普賢寺へ行った。どうという事もない、植木が朝鮮半島の形をしていたのがおもしろかったぐらい。 本堂で仏像に線香をあげた。1ウォンとられた。
一般参拝客がいない、松葉一本もないほどきれいに掃かれている。やたら人が歩いている。 朝に部屋から外を見ると大量の人が歩いていた。妙香山に来ようと歩いていた事は確かだが、 "どっから歩いてきたの?"

車で移動中、男の子にクラクションを鳴らすと、変わった乗り物に乗っていた子が落ちて女の子が笑った。 "久しぶりの本物の笑顔や" 移動した先は国際親善展覧館。 世界各国から金日成・正日に送られた貢ぎ物を納めている所で、中での写真撮影は一切禁止。 ホテルよりも豪華な建物、扉一つで40t、しかも手袋して触らなければならない、"めんどくさい!" 中のエスカレーターや照明は入り口の部分を踏むと勝手にスイッチが入る仕組み。 幅はたいしてないが、奥行き120Mぐらいで長い廊下が一直線にのびていた。 中では土足が駄目ならしく、靴にカバーのようなスリッパをつけさせられた。 森本さんの破れたジーンズさえあまりよくないらしい。

はじめに金日成の石像がある部屋に連れて行かれて、お辞儀をさせられた。 "やりすぎやろ〜"それだけ金日成がカリスマ的存在だったということか。 世界中からの貢ぎ物は地域ごとに分かれていて日本のコーナーもあった。 アントニオ猪木が贈った物もあり、なんとそれはMINOLTAのカメラだった、ちゃんと展示してあった。
"なんで猪木がカメラなんだ?"「なんだコノヤロー、カメラで文句あんのかバカヤロー!1、2、3、ダー!」 という声が聞こえてきそうだった。展示物は象牙が多い。 特にアフリカからの物は多く、しかも大きい、一本が2.5メートルほどもあり、彫刻が施された物もある。

それぞれの国々の特色がよく出ており、金丸信が贈った日本人形もあった。 その中の一番はニカラグア!ワニの剥製で、後ろ足で立ち前足で盆を持っている。 しかもグラスつき、これと一緒に写真を撮れなかったのが非常に残念である。"にくいね、ニカラグア!"

最後に中国から贈られた金日成人形の部屋に連れて行かれた。 生きているかのごとくリアルな金日成が微笑んで、色とりどりのお花畑に立っている。 しかも蝶まで飛んでいる!これを拝まされた。
"何考えてんだ?本気か?"
笑いをこらえるのに必死!!"笑ったら殺される!!"横の森本さんを見るとブツブツ言って手をあわせて拝んでいる。 "何で拝めるんだ!?俺なんて笑いそうなのに!"これで笑ってしまった人はいるのか?その人はどうなったのか? 見学後、上の喫茶店でお茶、しかも高麗人参茶、3ウォン、知らぬ間に注文されていた。 茶は土くさく、おいしくない。ガイドらしき人が来て、金さん、森本さんと3人で何やら話している。 北朝鮮に詳しくない俺は眠さんと北朝鮮の料理について話した。お土産に北朝鮮のタバコとパンフレットを買った。 もちろんニカラグアのワニがのっている。周りの自然の景色はなかなかいいものだった。

他に軍服を着た人たちがいた。こういう所に連れて来て思想をたたきこむのだろう。 この建物も、貢ぎ物も、この国が潰れる時に消えるのだろう、少し惜しい。 この建物は人民からの搾取以外の何物でもない。

ホテルに帰る途中、臨海宿舎があって子供達が川で洗濯をしていた。 いったいどんな子供達がここに来るのか?思想が徹底していない子に徹底するために連れてくるのか?謎だ。

ホテルで昼食、米2杯・ワンタン・鳥・ナッパ・豆腐・キムチ・羊肉じゃが、どうも肉が多い。 肉は富の象徴なのだろうか?このメニューが北朝鮮の豪華料理なのか? 飯食った後で荷物を持ってチェックアウトしようとすると、オバサンが来て、バスタオルがどうこう言っているようだ。 俺が記念に貰って行こうとしたバスタオルを返せと言うことらしい。 バスタオル1つでもこの国から搾取することは許されない。とりあえず返したら何か言っていた。
「カバンに入れて持って行くなんてふていガキだ!!資本主義の犬め!」
と言っていたんだろう。

その後ロビーでこのことを金さんにも言われた。この時は少し恥ずかしかった。
その後平壌に戻る途中で無理をいって清川河という川で泳がせてもらった。 水温が低く少し冷たかったが気持ちよかった。解放されたような気分になった。 ちなみに森本さん大はしゃぎ!水は綺麗だが、小さな魚しかいない。でもそこで網を張っている人がいた。 森本さんいわく「川にあほな堰とか造るせいで土砂が流れてきて、推積するせいで微生物が育たんから魚がいない」らしい。 網を張っている人に森本さんが声をかけに行ったが、無言で避けられたらしい。 見知らぬ外人と喋らぬように徹底されえているんだろう。もし喋ちゃったら・・・

平壌に戻る途中、駅みたいなのがあって金日成の絵がかけてあったが、 列車が走っている気配はなく、貨物列車輌がくちはてていた。 石油を運ぶような列車までもがくちはてていた。国内に石油が行き渡っていないという事か。 道路の上に高速らしきものがあったが下の道路とはつながっておらず草が生えている。 利用しない無駄な道路である。

金さんに「あれは何ですか?」と質問すると
「インターチェンジです。知らないんですか?日本にもあるじゃないですか。」
"んなもの、ありません!"

平壌近くで道に小学生がいっぱい座っているから何だと思ったら、稲刈りをしている。 子供が横一列にならんで、鎌を持って刈っている。"この米はこの子達の所にまで行き渡るのか?" 昨日金さんが「食料不足は本当です。今年も全国民が田植えをしました。」"かなりヤバイ状況ってことだ!!"

夕方子供宮殿に着くと青い服を着た小学生3・4年生らしき女の子が出て来て、手をあげて元気良く 「アンニョンハシムニカ!!」と言ったのには驚いた。
"ワザとらしすぎ!!"
その後いろいろと宮殿について説明された。 近代建築としてはすばらしい、昔に造ったんじゃなく、今、そして他にも造りつづけている。 この国力で"アホかい!!"もう少し金の使い方を考えろ!
1tの大理石の時計があって文字盤が世界地図になっていた。 ここまではいい、でも朝鮮半島が日本の2倍くらいあり、針の中心が平壌辺りになっている。 "世界の中心が平壌ってか?こんな事をするのは金正日に違いない"

その後子供達が活動している所を見学、はじめにダンスの所に行った。 チマチョゴリを着た小さな女の子が踊っていた。教師らしき人が竹のムチを持っていて、足のあざのある子もいた。 ムチでしばかれながら無理して笑顔で踊る。人に見せるためだけに、いたたまれない気持ちになった。 その後書道コーナーに行った。眠さんが「どうです、記念に一枚」と言ってきた。 "何も言わなくても出てくるのだろう"そう思って「いえ」と曖昧な態度をしていた。 森本さんも同様に乗り気じゃなかった様だ。 困った眠さんが少女に何かささやいて少女が書いたのは「朝日友好」
おそらくここで少女が書く事ははじめから決まっていて少女も今まで何度もこの文字を書いたのだろう。

新体操のコーナーで少女がレオタードで踊っていた。 森本さんが何かじっと見ているので聞いてみると 「レオタードの女の子の乳首が立っていて気になって」"真剣に何を見ているんですか"
他に撮影、プール、テコンドー、バスケ、刺繍なんかを見たがレベルが高い。
でも人に見せるためというのはどうなのか。 とりあえず上手く表現できない「百聞は一見にしかず」 コンピューターのコーナーに行ったが、ここだけヤケにレベルが低いような気がした。 パソコンは5インチの画面でもう既にENDと出ているプログラムを見つめ考えているようだった。 森本さんに言わせると考える必要のない初期の初歩の簡単なプログラムらしい。 考えるフリをしている子供達がかわいそうに思えた。

最後に子供たちの討論会を見に行った。テーマは「幸福」らしい。
入るとステージがあって観客席もすごい人で "どうせ決まったセリフを毎回言っているんだろう"と思っていたら、まったく違うものだった。

子供が出て来て開会の挨拶をした。 その口調は日本で流れている様な抑揚のある口調で、内容もこれまた日本で見たことのある様な子供達の踊りと歌だった。 設備もすごかった。ステージが流れ、マイクが上下から出て来、照明も一流だった。 バックのスクリーンに絵が出て変わっていくのだが時々金日成、正日の絵が出て来る。 これだけ思想を徹底して正日をカリスマ化させようとしているのは異常だ。 踊りや演奏はすごい、踊りなんかこんな子供達に出来るのかというぐらい高度で全員の動きが全てそろっている。 これだけのものにするのにどれだけ努力したのか。ドラムなんかも日本のそこいらのプロより上手い。 歌も上手く、一人で歌っている子なんか森本さんに言わせると「これぐらいの時の美空ひばりにひけをとらない」らしい。
これからこの子達の才能は伸びていくのか。このままこの国で埋もれるのか。 そう考えるとかわいそうだ。一人で歌っている子の中に男の子がいて丸く太っていた。 北朝鮮で見た唯一のデブ。最後に子供達が泣いていて、スクリーンに戦闘機に乗った正日登場。 子供達が「アボジ、マンセイ!」と狂喜乱舞、"オイオイ、ヤリすぎやろ!"

ちなみに絵の正日は本人と分かる程度にかっこ良く描かれている。"あの顔が出てもありがたくないからなあ" この建物を案内してくれた子に年齢を聞くと13才という、"体質か?それとも栄養が足りないのか?" そう思う程、説明してくれた子は小さく、10才ぐらいにしか見えなかった。 森本さんがお菓子をあげたいと言うとガイドに「それは失礼です」と言われてしまった。 それだけプライドが高いということか?

夕食のレストランに行く途中、森本さんが「少し店によっていいですか?」
すると時計を見て時間確認してから「もう6時ですので閉まっています」"要は行くなって事かい"

玉流館というレストランで夕食。レストランでは偉そうな人が何人もいてエジプト大使館のパーティーらしい。 メニューはパン2個・キムチ・塩漬けのニンニク・鳥の冷菜・チヂミ・冷麺・アイスクリームとちゃんとコースになってでてきた。 冷麺は一見こんにゃくで"えっ、冷麺て糸こんにゃくの事なの?"食べると歯ごたえのある麺、酢がやたらにきいてすっぱい。 言ってないのにドライバーがおかわりを持ってきてくれた。高麗人参酒も出してくれたが"マズイ!"とても飲めない。

その後ホテルにチェックイン、街中にあるホテルで部屋は広い。 どうやら2つの部屋を1つにしたような感じ。妙香山程異様さはないが盗聴されているのだろう。 他にも宿泊客がおり安心できる。

散歩したいと言うと、車を使うとガソリン代がかかるので10ウォン(600円)程かかるという。 "高!ガソリン不足か!"でも車でなく歩きたいので歩く事に。
それだけでもホテルを出るために20分くらい金さんがどこかに連絡していた。 何とか外に出ることができたがガイドの付き添い。 町のマンションは所々の部屋に電気がついていて間違いなく人が住んでいる。 中には100%金日成・正日の肖像画がかけられてある。

チュチェ思想塔の対岸まで行った。 街灯はついていないにも関わらずチュチェ思想塔・朝鮮労働党50周年の建造物がすんごく明るくライトアップされていた。 "電気使うとこちゃうやろ!"そのくせトロリーバスはライトを付けずに走っていた。 夜の街はとてつもなく静かでモンゴルの平原を思い出した。 人もあまりいない、一見平和そうだが、今日もどこかで誰かが山奥に連れて行かれているんだろう。 ホテルよりも街中の方が落ち着くのは妙だ。

毎日いろいろな事があって一日が長い。 森本さんは韓国を南朝鮮、正日に将軍様を付けて言葉に気を使っている。 この国は一体何なんだろう?俺には理解できない。明日はいよいよ板門店だ!



   





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初版:2001年11月31日、