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主体思想塔

旅日記番外編
〜農沢君の北朝鮮日記(3)〜
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主体思想塔


     
 
10月7日 水


昨夜絵ハガキを書いていたので、この日記を書いているのが8日、書き忘れも多いかもしれない。 朝起きてお湯が出ると言うので、森本さんが風呂に入ろうとしたら水しか出なかった。 朝食のメニューはパン4切・かゆ・バター・ジャム、それ以外は忘れてしまった。 どうせ昨日と同じような物だったのだろう。

朝食後せかされて車に乗り込み、金日成の銅像に献花しに行った。 北朝鮮に来る外人は全てこれをしなければならないらしい。しかもツアーに組み込まれている。 組み込まれているにもかかわらず10ウォン出して花束を別に買わなくてはいけない。 飛行機の中で花を持った人が多かったのが分かった。 花を売ってくれたオバサンを金さんは「木の下で待っています」といったが、 木の裏に隠れるようにして花束から枯れた花を抜いていた。 "この人は何?"献花するのにも礼をする。しかもガイドがやたらとせかすのでムカツク! 有名な金日成の像と同じポーズで写真を撮ろうとしたら止められた。"それほどのものなのか?"

いよいよ板門店へ!!板門店へ行く途中にそれほど印象に残るような事はなかった。 板門店から30kmぐらいの所から戦車が見えだした。全部南を向いてシートをかぶせられていた。 嫌でも緊張感が張りつめる。行く途中に道路の左右に柱のような物がいっぱい立っていた。 森本さんの話では「有事の時にこれを爆破して道を防げるようになっている」らしい。 道路の横の斜面を固める工事をしていて人がいっぱいいた、 少し行くと向こうからオバさんを過積載したトラックとすれちがったので聞いてみると「工事をしに行くんです」 "重機無しの人海戦術っスか?"北朝鮮の一面を見た感じがした。

板門店に着くといきなりお土産屋のような所に連れて行かれた。 ここでパンフレットと板門店バッチをお買い上げ。その後に少し説明を受けて非武装地帯へ穴入!! 今までずっと説明してくれていた金さんに代わり眠さんがここからガイドをしてくれるらしい。

非武装地帯なのでヴィクトリーノックスを持ってていいものかと思っていたら眠さんが 「非武装地帯ですのでピストルしか持っていません。」"非武装ちゃうやん!!"

非武装地帯の入り口には鉄状網が張り巡らされていて、道路の左右にも鉄状網、 石が組んであり簡単に道が防げるようになっていた。 鉄状網の中に農民が小さい村を作って住んでいた、しかも稲刈り中。 こんな所に住まわされている人は悲惨だ。軍人さんが言うには「平和の象徴として村を作っているんです」 "ホンマかい!?"韓国ではこの人達の事を「玉よけ」と呼んでいるらしい。 どこにも移動できず、有事の時には死んでいくのだろう。

板門店の建物に行く前に朝鮮戦争の講和条約があった所と、調印式を行った建物に行った。 講和条約のあった所では当時使ったテーブルとイスがそのままあり、イスに座って写真を撮ることができた。 調印式の所では北朝鮮と国連の旗があり、国連の旗は当時のままだったが、北朝鮮の旗は新しく綺麗だった。 よほど自分達の方が上だと思っているのだろう。

説明されたが、やけに「我が国はアメリカの侵略を退けアメリカに勝利した」という事を言っていた。 "でも今やったら負けるな"その後に超くだらない金日成が死ぬ数時間前のサインを石碑にしたのを見た。 眠さんの日本語のニュアンスのせいか「じゃ写真を撮って下さい。」 "こんなん、撮るの?"仕方なく1枚写真を撮る。"フィルムもったいない"

ようやく板門店の軍事境界線を見るために2階建ての建物に上った。 コンクリートの線があり、その上に青の建物が4つ、白が3つ、青は南の建物で白は北らしい。 コンクリートの線を挟んで南北の兵士が銃を持って対峙している。 南側はけっこうリラックスした様に歩き回っていたが、北の兵士は直立不動だった。 南側の3階建ての建物には日本人と思われる団体客がいて笑っていた。 南側にはカメラが設置されていたのでモニターでこちら側を見ていたのだろう。 笑い声が聞こえていたせいか南側の緊張感があまり伝わってこない。 南の兵士はこちらを双眼鏡で覗いている。
「手を振ってもいいんですか?」
「いいですよ。」

思いっきりアホな程手を振った。「それはダメです」"えっ!?ヤバイ?"でもみんな笑っていたので安心した。 もちろん向こうからは振り返してくれない。 右に北朝鮮・左に韓国の旗がひるがえっていて嫌でも境界線ということが意識される場所だった。

建物の前にいた兵士が無線を持っていたが、異様にデカイ!小さいのを作る技術がないのか? それとも南の無線を盗聴できるようになっているのか?

説明してくれた軍人さんにテポドンについて聞くと 「衛星です。ミサイルだと言っているのは世界中で日本だけです。 どうしてそんな事も分からないんですか?」"どう見てもミサイルなんですけど?" 他に「朝鮮が南北に分裂しているのは日本が植民地にしたからです。」 「日本の教科書は訂正して朝鮮を侵略したと書くべきだ。」 「事実を素直に見つめなさい。」と言われた。"あなた達に言われたくありません!"

どうしてこういう事は詳しいのか?しかも日本をかなり敵対視している。
帰る途中に工事現場に通りかかると人がたくさんいて石をバケツリレー方式で運んでいた。 全て人力、行きに見たオバさんも働いているのだろう。

開城の町で昼食。開城の町は車が全然通っていない。ここまでガソリンが来ないのだろう。 それにガスも来ておらず燃料は薪と石炭、洗濯はもちろん川、車もいないが人もいない。 道で寝ても平気っぽい。従って交通整理のおネェちゃんの動きも鈍い。一度サングラスをとって欲しいものだ。

昼食を食べるはずのレストランに行くと閉まっていて人がいない。 入り口も正面から入らず裏側から入ろうとしていた。"潰れたの?"この町には食料が無いんだ。 食料品店にはビンしか並んでいない、そのビンもミネラルウォーターだろう。 しばし待つ、オバサンが出て来て中に入るとすでに食事が用意されていた。 昼食は宮廷料理らしく10個の器にちょっとずつ違う料理が入っている。 味の方はいつも通りそんなにウマイとは思えなかった。

人民は飢えているというのに肉を残してしまった。豚肉に毛が生えたままで、とても食べられなかった。 人民はどんなものを食べているのか?食事になるとどこかへ行くガイドは?

昼食後開城にある古跡と歴史博物館を見に行った。たいして書くほどのものではない。 博物館は俺達が行くと鍵を開けていて「今は昼休みなんですけど特別です」 "本当か?ずっと閉まってるんじゃないの?"

他に俺の希望の「昔の北朝鮮の民家が見たい」ということで、見せてもらえる事に。 でも行った所はホテルらしい。瓦の平屋で長屋のような感じ、俺の希望通りであるが生活の臭いがしない。 人民が周りとかで生活していそうな所がベストであり、人民の生活を垣間見れるかも知れないと思ったのだが、 "見せるわけね〜か!"

開城から帰る途中に戦車がある所を通ったが、行きには気付かなかった入り口があった。 丘の下にあり、周りは戦車。不自然な洞窟もある。防空濠か?それとも地下基地への入り口か? 謎!行きからは見えなかった所にも戦車がたくさんあった。

途中休憩所で一休み、休憩所は歩道橋のようで下を壊せば道を防げるようにできている。 ここでおごりと言うことでパンと水をごちそうになる、"ごちそうさまです"
その後不覚にも眠ってしまう。"貴重な時間を無駄にした"

平壌に戻りサーカスを見た。サーカスは国意掲抑的な物ではなく、娯楽としてのサーカスだと眠さんは言っていた。 始まると苦笑い"やっぱ、これか〜"後ろのサーカスに労働党のマークが出て、サーカス団員が国旗を持って登場。 "う〜ん、北朝鮮にこれは欠かせないのだろう"しかもサーカスの間にスクリーンに旗やハングル文字が出て来る。 横にいた眠さんに聞くと 「前へ進め」「忠義孝生」「革命的軍人精神で」「社会主義を進めよう」 「強大国家建設」「自力更生」"メチャメチャ国意掲抑やん!"でも出し物はスゴカッタ。

1人の肩に3人が立ったり、ジャグリングのスゴ技、月の輪熊のなわとび、空中ブランコ、 フラフープ、シーソー、2人の空中ブランコ、ぼうしとレンガを使ったピエロ芸、 馬の曲乗り、と盛りだくさんで、めいいっぱい楽しませてもらった。

この時だけは平壌市民もかけ声をかけたり拍手したり活気があった。 終わってみんなが帰ろうとしだすと異様に静かに整然となった。 これだけの物を見た後はざわめきがあって当然のはずだ。終わった瞬間現実に戻ったのだろう。"正に一夜の夢"

最後の夕食だというので焼肉パーティーをするらしい。大城山という所に行くと遊園地があった。 絵ハガキにあった人気のない遊園地だ。 "遊びて〜、観覧車乗りて〜"さらに山に入っていくと池のほとりに石のテーブルとイスがある所に着いた。 全然人がいない、明かりがない。"このまま山の中へ連れて行かれるのか!?" 手違いらしく他の場所に行くとちゃんと準備が出来ていた。

なんと肉はアヒルと鹿・食べ放題! それにキムチと春雨・いろんな野菜を使った料理・ご飯・ほうれん草の味噌汁・鹿の角酒、 この時はみんな一緒で夕食をいただいた。

でも明かりは車のヘッドライト、肉が焼けているのか良く分からない。 影になると何だか区別がつかない。アヒルはおいしいがちょっと油が多すぎる。 鹿は本当にうまい!!くせがなく、こんなおいしいものだったとは、 "奈良公園の鹿食おうかな?"注文すれば虎の肉もあるらしい。 でも朝鮮半島の虎は絶滅したはずじゃないの?"何の肉を虎と偽って持ってくるのか? "料理の準備をしていた女性はドライバーの娘さんらしく、森本さんと結婚したらどうだ?なんて言っていた。

森本さんは本気でしてもいいと言っていたが本音は 「彼女と結婚すれば北朝鮮に旅行社を通さずに来れるようになって自由に歩き回れるようになるかもしれない」らしい。 彼女は「お金持ちになって下さい」"男は金なのね"

森本さんが金正日の来ている人民服を買いたいと言っていたので、ホテルみたいな所にある小さな免税店へ。 そこには旅行者の喜びそうな物は全然ない。しいて言うなら力道山のお酒くらいか。 こっちでも英雄なんだね。人民服と言うけれど、どう見ても工場の作業服だ! 「とても丈夫なんです」と金さんが言っていたが、生地は薄いんだよね〜? ためしに俺も人民服を着てみた。"なんだこれは!?似合ってるじゃないか! これ着たら北朝鮮人民労働者じゃないか!"買っちゃった。24ウォン、ムダな買い物かもしれない。 着る事はあるのだろうか?

昨日と同じデドンガンホテルに戻ってみんなに絵ハガキを書いた。 検閲に引っかからないように内容はおさえたものにした。問題は金正日の絵ハガキが届くかどうかである。
焼肉で生を食ったらしく腹の調子が悪い! そういえば「焼肉をすると皆さんお腹をこわしたと苦情が来るんです。」 "あたりまえやろ!俺もこわしたっちゅ〜ねん!"



   





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初版:2001年11月31日、