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主体思想塔

旅日記番外編
〜農沢君の北朝鮮日記(4)〜
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主体思想塔


     
 
10月8日 木


朝から起きて荷物の整理して朝食。パン5切・かゆ・肉炒め・キャベツと肉の炒め物・肉炒め・バター。 あいかわらず肉が多い。朝食後荷物を持ってバスに乗りに行って荷物をバスに置いて、憧れの地下鉄に乗った。

乗り場は自動改札になっていて、どこまで乗っても10チョン、でもたいして長くなさそうだ。 壁に金正日の屋敷の近くを通っているという路線図があって嬉しくなって写真をとってしまった。 朝鮮の地下鉄はモスクワの地下鉄よりも深いらしく何mあるのかわからない。

どこまでも下りてゆくエスカレーターに感動した。 駅の内装がすごい、豪華なシャンデリアに柱は大理石、そして壁には毎度おなじみの金日成の絵。 駅の建物には無かったが、必ずどこかにある。列車の本数も多いようで1本行くとすぐ次が来た。 驚くべき事に列車のドアは手で開ける仕組み。"危ないんじゃないの?" 列車の中は暗い。車輌の左右の端に灯りが1つづつあるだけ、当然各車輌に金日成・正日の絵がかけてある。

乗ったのは1区間だけで平壌駅の近くで降りた。降りた駅も内装がすごかった、豪華絢爛! 地上までのエスカレーターでそのスピードも日本の倍くらいありそうだ。 降りた駅は乗った駅より多少浅い気がしたがエスカレーターで2分8秒。 思っていたよりも地下鉄は市民が利用している。"きっと金持ちなんだろう"

地下鉄の駅から平壌駅までバックパックを担いで歩かしてもらった。 担いで歩いているとなんか自由に歩いてる気がして良い。 学校に行く途中とおぼしき子供達に手を振るとわずかに笑顔で振り返してくれる子がいる。 手を振ってもらえるというのは嬉しい!開城だと子供達の方から振ってくれたりした。

駅に行く途中地下道に入っていくとすみに立ってタバコを売ってるオバサンがいた。 "買ってみようかな?"でもいっぱいいて全員きれいに整列している。 少し異様だったので買う気がしなくなった。でもどうして全員同じ所で同じ物を売っているのか? ちゃんとした道では売れないのか?でも地下道を出るとオバサンがアイスクリームを売っていた。 小さい皿のコーンにバニラらしきアイスがのっている。値段は4ウォン(240円)。 "高い!!"とてもじゃないが買えなかった。

ちなみにアイスクリーム売りのオバサンも公務員らしい。 "じゃあタバコ売りも公務員なのか?""普通に働いている人と同じ給料なのか?"金さん達に聞くべきだった。

平壌駅に着くと裏口のような小さい入り口から入った。 国際列車の入り口は別だとしても、正面から人民と一緒に入りたかった。 待合室はなかなかキレイでイスはちゃんとしたソファーだ。

昨日だったか、車に乗っている時に北朝鮮の100ウォン札を見せてもらった。 しわ一つなく、若かりし日の金日成の肖像画が描かれている。 "超欲しい〜"国外に持ち出す事はダメらしいが1ウォン=60円、つまり6000円で売ってくれるという。 "6000円、う〜ん、無理だ・・・"買いたかったが、これからを考えると少し無理だ。 そうすると金さんが「じゃあ、後でお二人に差し上げます」"おいおい!いいの?" 聞く所によると平均給料が250ウォンぐらいらしいのに100ウォンも貰って良いのか? それとも貨幣は意味がなく、物々交換の世界なのか?どっちにしろ貰えるのはありがたい事だ。

列車を待っている間に駅の通路にしゃがみこむと駅員が来て何か言われた。 どうやらしゃがみこむのはいけないらしい。 列車が来てもうお別れだという時、金さんは発泡スチロールの箱を持っていた。 餞別か何かが入っていて、その中に100ウォン札があるんだ!そう思ってたら違うかった。 箱は餞別でもなんでもなく、単に持っていただけだったらしい。(100ウォン札も貰えなかった)

列車に乗りこんで座席を見ると4人コンパートメント、でも狭い。 同じ部屋には1人の中国人。ビールを2本と水を出してきて、飲む気配はない。 中国人がヤケに人間っぽく見えた。

列車の中はたいした事はなかった。風景は田んぼと稲刈り、しかもたいして変わり栄えしない。 列車のスピードは20km/時ぐらい、時に4〜5km/時ぐらいになる。 たまに面白い物が見える。線路のまくら木の間で火をおこしている人がいたり、 石炭を積んだ貨物列車の近くでこぼれたくず石炭を拾っている人がいたり、 座っているだけのスゲ〜ヒマそうな子がいたり。 "君達学校に行っているのかい?""義務教育行われてへんな〜、絶対!"

あと何も積んでいない牛車が40ぐらい連なっていたが、どこに行くのか?

食堂車で昼食。メニューはご飯・キムチ・ジャガイモの炒め物・ほうれん草・きゅうりの酢の物・鳥の煮物・キャベツの酢漬け、中国式に2人でつついた。 列車が国境に近づくと出国手続書と税関申告書をもらった。 文字は全てキリル、分からずに適当に書いたが、何も問題は無かった。 なぜか国境で3時間近く待たされた。北京の金社長が列車事情が悪いと言っていたのでかなりの余裕をもたせているのだろう。 列車から降りることが出来たのでいろいろ見た。その中にサビついた廃車の様なぼろい列車があった。 廃車かと思ったが車輪の部分は比較的新しくサビついていない、"この列車は走っているのか?" そう思って見ていると後ろから声をかけられた。振り向くと"えっ!!"銃をかまえた兵士、 「見るな、どっか行け」という仕草をしたようなので"スイマセン"という感じで退散。何もなくて良かった。

乗っていた列車の先頭に明らかに貨物列車と思われる車輌が付いている。 覗くとガランとした中にガラクタが少し乗っていて人が4〜5人乗っている。 彼らがこっちを見ると恐かった。"何なんだ?これが北朝鮮では普通なのか? "そういえば後ろに国内だけの車輌があったと思い、見に行くと食堂車のおネェちゃんに止められた。 国内車輌の入り口にはカーテン、"見るなって事なのか?" 途中の駅で多くの人が下りてゆくのを見たが、この列車のどこにそれだけ乗れるのかという感じだ。 "中はどうなっているんだ?難民船状態なのか?"

駅で待っているとサビてボロボロで窓が割れている列車が走っていった。 その中に1組の親子が乗っていて笑っていた。"国内ではこれが普通なのか"   時間が来て出発、鴨緑江の手前に公園があり、遊具が錆びていた。 中国に見せるために作ったものなのだろう。鴨緑江を渡ると中国、光に満ちている。 入国手続きのためパスポートを渡すとそのまま1時間以上待たされた。 手続書にサインをすればいい状態で渡された。 "こんな事で待たされるとは"ベッドにあったタオルに"PYONG YAN"と書かれていたのでお土産に貰った。 森本さんは中国人が手を付けなかったビールをお持ち帰り。

駅を出ると中国独特の雑踏、店に商品が山ほど並んでいる。 人の声があふれている。"世界一静かな国から、世界一うるさい国へ!"しかしうるさい。 でもこのうるささが妙に嬉しい。北朝鮮に行ったのが夢のようだ。

北朝鮮の旅が終わり、いろいろ思い返してみた。 思っていた程北朝鮮の人は汚い格好をしてはいなかった。 シャツも白いし子供達の制服もプレスが効いている。中国人の方がはるかに汚い。 彼らの生活で服に気を使うのはしんどいのではないか?プライドの高さか? "武士は食はねど高揚子"後本当に物がないという事だ。 金さんが「砂糖1つでも嬉しいですよ」と言っていた。 ガイドになる人間は大学を出て留学経験もあるエリートのはずだ。 エリートがそういう事を言っているのなら一般人民はどんな食生活をしているのか? 北朝鮮では生きていく事さえ難しいと思っていたが、 何の情報もなく、祖国を愛し、金正日を信じ、いつか幸せになると思って苦労に耐え続ければ生きていける。 幸せかどうかはわからない、北朝鮮という国自体理解できない。 俺が再び鴨緑江を渡る事はあるのか?渡っても俺が見た物は全て破壊されているのだろう。 そう考えるとさびしいものがある。



 





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初版:2001年11月31日、