トップ > イギリス・アイルランド > 人民兵アイルランド上陸

憲政の父

人民兵アイルランド上陸
憲政の母
     


これからどうしよう


飛べねえ豚は、ただの豚だ
(写真: ダブリン〜ベルファストのバスから見た豚のオブジェ、 宮崎作品に影響されたかどうかは不明。また作者の意図も不明。)

2005年 4月 20日

なんだかんだでロンドンに3日滞在して、残りの日程と自分のしたいことを考えた。

思い返せば、久しぶりの旅に出る前に周囲の人間に北アイルランドで、 IRAの巣窟に潜入してくるなどと冗談交じりで話した時は、 「さすがは人民兵さん」などと言われて嬉しくなったものだった。

しかし正直なところ、北アイルランドまで行けるかどうか出発前は自信がなかった。 ロンドンに三日滞在したので、残りの日程はあと一週間。 人民兵の住むアメリカに戻ってしまうと、この先イギリスはおろか、ヨーロッパにもいつ来れるか分からない。 ゴルゴ13でお馴染みの北アイルランドには、是が非でも行ってみたい。

しかしながら、今回の旅は9年ぶりにO嬢に会うという目的があったのも事実。 確かに彼女がいなければイギリスまで来るはずもなかった。 久々に昔の友人と会って楽しかったし、ある意味旅の目的は既に達成したことになる。

彼女とは都合がつけば一緒にスコットランドをまわろうという話になっていた。 そうなると日程的にアイルランドに行く時間が限られてくる。 飛行機にするか船で行くか、念のためと思い 昨日のうちにWebで調べた料金が今日にはもう変わっている。 一日一日日程が近くなると値段が上がっていくのが実感できる。

市内の地下鉄の初乗りが2ポンド(400円)のこの国では、 長距離交通に価格破壊の波が押し寄せていた。 ほんの一ヶ月先に予約すれば、何百キロも離れたスコットランドの古都エジンバラまで一ポンド(200円) 出せば行けてしまう。

そんなことを知ってしまうと、馬鹿高い正規料金を払うのが煩わしくて、 時間だけがどんどんと過ぎていく。

コンピュータの前で、一時間が過ぎ、二時間が過ぎしていると、 ネットカフェで隣の席に陣取ったO嬢が退屈しのぎに何か調べている。

『人民兵さん、一緒にパリに行こうか』

飛行機とホテル代込みの値段を見れば、 アイルランドまでの片道バス代を二倍したものとさほど変わらない。

『確かに、君と会って話ができたからもうそれでいいとは言え、周りの人間には“IRAに行くなんてさすが人民兵さん”と言われて来てるのに、女の子とパリに行ってました・・・とは言えんのだよ』

結局予定してたより高かったが、ロンドン発ダブリン行きのバスを予約した。 43ポンド(8600円)、いきなりだが出発は翌日になった。 途中の海峡はフェリーで渡るらしい。私はそこから北上して北アイルランドの首都ベルファストまで行く。 ベルファストで二泊した後、スコットランドの田舎町(Stranler)までフェリーが出ているので、O嬢とはそこで待ち合わせをすることにした




ダブリンの街


結構混雑、ダブリンの街
ロンドンを夜の7時に出発したバスは、ウェールズを横切り海峡を越え、翌日の昼ごろに目的地に到着した。 アイルランドの首都ダブリンは、街の規模としてはそれなりに大きいものの、 ロンドンと比べればやはり洗練されていないという印象が強い。 もっともそれは、ジャニーズのコンサートと吉本新喜劇を比べるようなもので、 普通に歩いてどちらが面白いかといえば洗練されていないダブリンということもできる。

中心街を一筋離れただけで、肉・野菜から文房具まで扱う粗末な雑貨屋や、 グチャグチャにつぶれたプリングルスや凹んだ缶詰を売る安売りの店があったり、 手作り感あふれるパン屋や活気のない魚屋など、ある種アナーキーな感じが漂う。

近くの人の会話に耳を傾けても全く聞き取れない英語

(ヨッ ギュオーウ ポー レッ?) とか言ってた・・・ 

アメリカに6年住んでる人民兵が単語一つを拾うことさえ難しい。
もっとも、ゲ〜リックというアイルランド固有の言語も年配者の間では使われているそうなので、 私が耳にした会話は英語ですらないのかもしれない。


大道芸人1(リンボーダンス)


レッツ!リンボー!

そんなダブリンを歩いていて一番面白かったのが大道芸人。 この街は今まで訪れたどんな場所よりも大道芸人の密度が高く、 目抜き通りを歩くと30メートルおきくらいに誰かが何かをしていた。  ギターやバイオリン片手に歌を歌ったり、燕尾服に身を包んだマジシャンがいたり、各種ジャグラーから、 ピアノまで持ち出して弾き語りしてる奴までいた。 矢野顕子かお前は・・・

一番大きな信号機まで歩いてくると、そこに一際大きな人だかりがあり、 一見してヒップホップ系の黒人がダンスを踊っていた。バク転したり、 奇声を発したりしているので、軽業師かと思っていたら、突然上着を脱ぎ始める。 客は彼の均整のとれた体に歓声をあげ、彼はさらに得意げになりパンツを下ろそうと手をかける。  客はさらに歓声を高くするが、彼は「そんなことするわけないでしょ」という感じで、 手を左右に振ってナイナイとジェスチャー。客は爆笑、とここまで完全に彼のペース。

彼の足元には2本のワインボトル(720Ml)と一本の棒が置いてあった。 大方手品でもするんだろう、これ以上見ていても仕方ないと、その場を離れようとすると、 私の目の前で彼が最後の”芸”を始めた。

それはリンボーダンス

ワインボトルに渡した木の棒に火を放った彼は、 「レッツ・リンボー!」と叫ぶこともなく、上半身を後ろに倒し、 つま先だけでじわじわ前に進んでいく。体全体に高さは全く感じられず、 上体は完全に水平、一見すると地面に寝転んでいるかの低さ。

彼の顎が完全に棒の下をくぐるまでに約10秒、全く予期していなかった事態だったので、 写真を撮りそびれてしまった。 客は大喜び、何人かの客は彼に握手まで求めていた。 それでも競争の激しいダブリンの大道芸人、ずっと見ていたが人だかりの中で 彼にチップを渡したのはたった5人だった。大道芸人達の現実は厳しい。


大道芸人2(動かない銅像)


ちょっと話は戻るが、これはイギリス・ロンドンでのお話。
今回の旅で気になった二人の大道芸人、一人はダブリンのリンボーダンサー、もう一人はこれからお話する ちょっと変わった芸を持つ男。

BAロンドン・アイというテムズ河のほとりにある巨大観覧車の下をO嬢と歩いていると、 軽く人だかりができている場所があった。 O嬢いわく、そもそもギリス人は日本人とどこか似ておりワビサビをわきまえた人種なのだそうで、 ノー天気なアメリカ人と違って、街を歩いていても見知らぬ人に声をかけたり、挨拶を交わすことがほとんどない。 それどころか、どんな変な格好をした人間が歩いていても、基本的には『見て見ぬふり』をしてくれる。 それが果たして心地よいのかどうかは別として、そういう大人の社会なので仕方ない。

だからかどうか分からないが、人がうなるほど歩いているロンドン市内でも 、特定の場所での人だかりというのは劇場や特定の人気店などをのぞいては遭遇しなかったように思う。

それで不審に思って足を止め、その人だかりに注目してみると、 どうやら銅像の前でみんなが足を止めてみているようだ。 なんの有名人なのかと思っていると

『お金をあげたら動くのよ』とO嬢。

ん? まさかと思って注意して良く見ると、 燕尾服にシルクハットを被ったその『銅像』から3メートルほど離れて人垣が囲んでいた。 確かに普通の銅像ならもっと近くで見てもよさそうなもの。 それにしても服も靴も肌も頭のてっぺんからつま先までまったく同じ緑銅色で、 質感も金属そのもので、風が吹いても微動だにしない。この”銅像”が生きているとはとても思えない。

「嘘やろ?」とO嬢に言うと

「下に置いてある箱にお金を入れると動くわよ」との返事が再び帰ってきた。

思い切ってコインを投げ入れ、2分ほど待つと頭の部分が10センチほどかしいで、 簡単なお礼をされた。

それだけで周りは、おおとどよめきの声をあげる。

写真をとらなかったのは今考えて残念だが、そのとき私はある言葉を口に出すかどうか迷っていた。

「た・・・ 谷啓さんや」


とりあえずギネス本社


よく注意してみると
(アイルランドの首都ダブリンで見学したギネス・ビール本社の写真)
せっかくダブリンまで来たのだからとギネスビールの本社を訪れた。
なんだかんだで『せっかくXXしたのだから』などと旅をしていると、ほとんど観光地を回ってしまうことになる(-_-;) ビール作りの工程解説とギネス社の歴史を展示してある記念館の入場料が15ユーロ(約2000円)もする。
それだけ払うのだからきっと何かあるのだろうと思って期待してたら特に盛り上がりもないまま、 最上階の展望台兼バーに着いてしまった
『これは和歌山県太地町にある落合博光記念館2500円に匹敵するぼったくりだ!』

憤慨してたら、 サーバーのお兄さんが入れてくれたビール(写真参照) よく見ると四葉のクローバーが描かれてあって、少し幸せな気分になる。 その後色んなところでビールを飲んだが、泡に絵を描いてくれた場所はなかった。 幸せのクローバ

太地町の落合記念館では、ブリーフ姿の落合博光の銅像が拝めるし、 ギネス本社ではビールの泡に絵を描いてくれるし、やはりお金は使ってみないとはじまらないというお話。


  〜 北アイルランド突入 〜 に続く


   





Copyright (C) 2001-2005 人民兵
Any Questions: webmaster@jinminhei.com
初版:2005年08月29日、