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パスポート売って大儲け?
  
  
  
北朝鮮での3泊4日に1000ドル払いこんだ上に、同志の 農沢君(仮名)に450ドルも貸してしまいました。 この時点で人民兵の懐には4〜500ドルくらいしか残っていませんでした のこり4ヶ月の日程で帰りのチケットもないことを考えると、もっとあせるべきだったのかもしれません

ところが人民兵は何事にもあせらず悠然と構えていました。「どうしてそんなに悠長に構えていられるんだ?」とよく呆れられたんですが、 実は金のあてがあったんです 。日本を出る前に悪友のAからとっておきの情報をもらってたんですね これが。「おい、タイで日本のパスポート 30万で売れるらしいぞ」

ありがとう赤尾君(仮名)、君のおかげでたすかったよ。

「俺はなんて賢いんだろう」 自分の計画性に自惚れていた人民兵。  ところが意に反して、なぜか行く先々で人のそしりをうけてしまいました。旅の大先輩ともいえる人達は口々に無理だと言うんです。 「香港かタイ、フィリピンあたりでなら売れてもおかしくないけど・・・」 「売ったという奴はきいたことない」  「知人の知人が売ったらしいが、一年後に南米で見つかったパスポートに血痕がついていたらしい。 どこで売ったかはしらないなぁ・・・」  「パスポートの金を旅行代に計算している奴ははじめて見た」・・・etc。 がっかりだ。

「友人の軽い言葉を信じた俺がアホだった」と思いきや、中国〜ラオス国境で出会った人はこう言い放ちました。 「売れるよ。バンコクのカオサン通りのまん中へんでうろついて る Mr QOO という男に頼んだら間違いないよ。多分2000$くらいで売れる じゃないかな」

目の前に一筋の光明が見えた気がした




所持金20ドルになってしまいました・・・


北朝鮮でさんざん絞られて、ラオスで盗難にあって、バンコクにたどり着いたときには 所持金が20ドルになっていた。 「これはもう真剣にパスポートでも売らなしゃあない」と思い旅人に色々聴いてみた。 もう下調べはしてある。Mr QOOを探せばそれで済むことだ。簡単な話じゃないすか。

「すいません、 ミスター・クー ってご存じ無いですか?」 

「誰? それ」 

「いつも、カオサンロードの真ん中辺りをうろついてるロンゲのアジア人なんですけど」 

「きいたことないな、何する人?」 

「あの、なんてゆうか・・・ パスポート買ってくれたり・・・ とか・・・」 で、めちゃめちゃ笑われたうえに

世界を股にかけた馬鹿 (私は あほのほうが嬉しい)の称号まで頂いてしまった。

しかし人民兵はただの馬鹿ではない。行動をともなった馬鹿なのだ。

こうなれば自前で調べるしかない。 このあたりで一番怪しい人間といえばそう、 バンコクにたくさんいる偽国際学生証を作ってくれる兄貴しかいない。 早速その辺りにいって声をかけてみた。

売ってはいけません「I want to sell my passport」  電光石火の早業で店の奥に案内される。あまりの速さにたじろいだ。 シャッターを半分閉めてから彼は、「パスポートを見せろ」と言った。 取り出して渡すと「少し待ってろ」とだけ言い遺してパスポートを握りしめたままどっかにいこ うとしやがる。

「待て」、腕をしっかりつかんで「パスポートは置いて行け」と伝えると チッと舌打ちして誰かに電話をかけた。 3分後、30歳前後の禿げた兄さんがやってきた。私のパスポートを念入りにチェックする。「少し待ってろ」 そういい遺して、彼もパスポートを持ったままどこかにいこうとしやがった。腕をしっかり掴んで「パスポートは置いて行け」  「チェッ」 しかし、誰も信用でけへん。

また誰かに電話をかけているようだ。今度は10分以上待たされた。どうやら次のが大ボスらしい。 「先進国とはいえ、タイやしこのままどっか連れ去られたらどないしよ」と不安がよぎる。一瞬 ボスが来る前に走って逃げようか とも思った。

不安をかき消すように禿の中ボスが聴いてくる。「お前 これをいくらで売りたいねん?」 「なんぼで買う?」 「いくらで売る?」 「なんぼ?」 「いくら?」 「なんぼ?」 埒があかん。 仕方ないので 「2000ドルだと聴いている」と言うと、思いっきり笑われた。 どうやら日本のパスポートが高く売れたのは、かなり前のことらしい。

「なんぼや?」と再びきく。 「7500バーツ(約2万2千円)やったらもろときまひょ」

「あほかっちゅうねん」

と真剣に思った。パスポートの再発行手数料だけでも1万5千円かかるのに、 この程度の値段でどこの誰が売るというんだろう?。 交渉の結果、14000バーツ(約4万二千円)までは上がった。下っ端の彼らにとってはここがどうやら上限のようだ。  と、その時大ボスがやってきた。パスポートを見せる。これまた念入りなチェック。 しかし、どうも様子がおかしい。中ボスを手招きで呼んだ大ボス、二人でひそひそ話をしている。中ボスは子分を彼の隣に座らせた。どうも私の写真 のことらしい。そのうち三人でくすくすと笑い始めた。私の方をちらちら見て、パスポートに目をやって またくすくす笑う。 きっと賛同の声が聞けると思うが、

自分のパスポートの写真で笑われて気持ちのいい人はいない  

五分以上笑われたろうか。大ボスはぞんざいに 私の大切なパスポートを投げて返した

「これは いりまへん」

「Why?」

「あんさん、この写真すり込みでんがな。こんなもんやったら偽造できまへん」

どうやらパスポートの問題らしい。日本のパスポートは本人の写真が印刷されている。これでは偽物が作りにくいそうなのだ。 では、印刷でなく実際の写真を貼り付けたものはどうして入手するかと言えば 海外でいったん紛失して再発行をすると良いらしい。日本で製造されるものは全て印刷だそうで、 彼らいわく殆ど価値がないそうだ。 最後は、立ち読み中の小学生のように、しっしっしっと追い払われてしまった。

なにはともあれ、さんざん疲労したあげく人民兵のパスポートは売れなかったわけだ。  



ここで人民兵がいいたいのは

パスポートの代金を旅行予算に組み込んではいけない ということである











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初版:2001年11月31日、